米連邦準備制度理事会(FRB)は、7日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2会合連続の利下げを決めた。物価高(インフレ)を抑えながら堅調な経済も維持する「軟着陸」を狙ったものだ。一方、5日の大統領選では、経済の「再建」を訴えたトランプ前大統領が勝利した。FRBが重視する指標から見える経済の姿と、有権者の体感の落差が鮮明になった。
2022年6月に前年同月比9.1%を記録した米消費者物価指数(CPI)の上昇率は、直近9月には2.4%まで低下。FRBはインフレ退治から雇用・景気への目配りに重心を移した。
FRBのパウエル議長は7日の記者会見で、「勝利宣言をしようとしているわけではないが、インフレ率が今後数年かけて(物価目標の)2%程度に落ち着くというストーリーには一貫性がある」と自信を示した。
パウエル氏は「米経済は強い」とも語った。7~9月期の米国内総生産(GDP)で、個人消費は前期比3.7%増。失業率は一時より悪化したものの、歴史的にはなお低い4.1%で、FRBが描く軟着陸シナリオは維持されている。
先進国の中では「一人勝ち」にも見える米経済だが、人々の受け止めは大きく異なる。
6月の英紙の世論調査では、米国人の半分以上が経済情勢を「不況」と回答した。さらに、米CBSによる大統領選の出口調査でも、有権者の3人に2人が米経済の現状を「悪い」と答え、その多くがトランプ氏に投票した。
最大の不満はなおインフレだ…